2016年4月15日金曜日

発振回路の「永久コマ」

先日、リードスイッチを使った「永久コマ」を作りましたが、
今回は、弛張型発振回路を使って「永久コマ」を作ってみました。


販売されている「永久コマ」は、私の知る限りでは
トランジスタ1石と2種類の太さのコイルを巻いたもの・・・
このような↓ ものだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=FkmAkMB9LBY

またネット上では、リードスイッチを使った「永久コマ」もよく紹介されています。

「弛張型発振回路の永久コマ」が優れているのは電池の寿命。
販売されてる永久コマは9Vの乾電池で約3日回るそうですが
発振回路コマは1.5Vの乾電池1本で2日以上 回ります。

リードスイッチコマは乾電池1個で、かなり高速で回りますが
数時間で止まってしまいます。(私が作ったリードスイッチコマは約8時間)

「発振回路コマ」は2日間以上回り続けます。
(今回、5個の装置を作成しましたが、
一番最長で62時間53分倒れることなく回り続けました。)

2017年7月
知り合いのY野さんが記録を大幅に更新されました。
なんと!! 電池1個で85時間5分!!
電池はパナソニック製のものを使用され、
コマは公転させず、1点で回しておられました。

<コマの作成>

コマは全く同じように作ったつもりでも
ちょっとした精度の違いで動き方が大きく変わります。
出来れば、数個作ってみて動きのいいものを採用すればいいかと思います。

下のサイズのワッシャーとナットの中心を合わせて
エポキシ系接着剤で貼り付けます。

①が乾いてから、爪楊枝の頭を①の中心に挿入し
エポキシ系接着剤でまっすぐになるように固定します。
コマの足の部分の長さは、
ダイソーで販売されているネオジム磁石2個分より
少し長い程度(6.5~7mm)あたりが、いいような気がします。


磁石1個ずつを対称に、極性を逆にして貼ります。
磁力でくっつきますが、
エポキシ系接着剤でしっかり固定してもいいかもしれません。


つまようじはナットの上1.5~2cm程度のところで切断します。

机の上で回して、ブレがなく回転するか確認してみましょう。

゚゚・*:.。,,。.:*"゚゚・*:.。,,。.:*"゚゚・*:.。,,。.:*"゚゚・*:.。,,。.:*"

これを書いてから、暫くしてもう少し別のコマの作成方法を思いつきました。
こちらの方が簡単で、失敗なく作れるかも知れません。

100均で販売の 手で押すと走る車(フリクションカー)を分解し


フライホイールを取り出します。


軸部分を抜きます。
(結構硬いですが、ペンチを使って抜きます。円板を曲げないように注意)


軸の刺さっていた穴をルーターで少し広げて、
爪楊枝が入るようにし、エポキシ系接着材で固定。
(円板の下は7mm程度、上は1.5~2cm程度です)
磁石は上と同様に、N極とS極が別々に下を向くように貼ります。

軽く回って、ほとんど失敗がありませんでした。


<本体の作成>

六角ボルト(M6長さ30mm)の端にM6用のナットを留めてから
0.35mmφのポリウレタン銅線を400回巻き、セロテープで留めておきます。
コイルの両端は10cm程度残しておきます。


下の回路図のように組み立てます。

回路は弛張型発振回路です。

抵抗値やコンデンサ容量で発振間隔が変わりますが、
色々と試した結果、1μF、100kΩ、10kΩが良く回りました。
(コイルの太さや巻き数によっても最適値は異なると思います。)

上の回路図通りに組み立てたものがこちらです。
ユニバーサル基板は25mm角程度の大きさに切って使用しています。

スイッチを入れて、LEDが点滅するか確認してみましょう。
LEDは乾電池に対して、逆方向に接続しています。
順方向に接続した場合は、点灯しません。
逆方向に接続すると、コイルに流れる電流が切断される時に
大きな自己誘導起電力が発生するために、
LEDが点滅します。



これを木板にネジ及び接着剤で固定します。

ユニバーサル基板は
基板と木板の間にM4用のナットをはさんでから
小ネジで固定します。



コイルとコマの位置関係を調べます。
用意したトレイやコマの精度によって、最適なコイルとコマの位置関係が変わります。
回路のスイッチをオンにして
トレイを手で持って、コマを回し  最も動き方の良い位置を調べてみましょう。
高さが低すぎると、コマの磁石がボルト(鉄)に強く引き寄せられて、うまく回りません。
高すぎると、電磁石の影響を受けにくくなり、回転力が弱くなります。


高さが決まったら、皿を固定するための木片を作ります。
ここでは高さ22mmとし、
コイルの端に皿の中心が来るようにしました。



木板と木片、皿を接着材で固定します。

今回はこの写真の左の皿を使いましたが
右や真ん中の皿の形状でも回りました。
皿によっても回り方が違います。
(左と右はダイソーで1枚100円、真ん中はキャンドゥで2枚100円です。)

この写真の左は、フラット部分が直径約7cmあり、
コマが端に行ったときにコイルとの反応が悪く、
うまく回りません。
右の皿は中心部分がほんの少し隆起しているため、
うまく回りません。



時計から取り出したプラスチックトレイでも大変良く回りますが、
傷がつきやすく、同じところでコマが回転し続けると
削られて、くぼみが出来てしまいます。


スイッチを入れ、コマを回してみましょう。


冒頭にも書きましたが、電池の寿命を調べたところ、
単3アルカリ乾電池1個で、62時間53分 倒れることなく回り続けました。

回し始める前の電池電圧 1.618V
コマが倒れた時の電圧は 0.995V
電池を休めて9時間後、電池電圧は1.088Vまで回復しました。
再度コマを回すと、約30分回って倒れてしまいました。

コマの動き方や電池の持続時間は
皿の形状、皿とコイルの位置関係、コマの作りによっても大きく異なります。
(勿論、コイルの太さ・巻き数でも大きく異なります。)

<電圧波形の自由研究>

①発振回路こま と リードスイッチこまの違い
LEDを接続していない状態
正方向は発振回路で約1.5V、リードスイッチこまは約1.0Vです。
自己誘導起電力は 発振回路 約60V
リードスイッチコマ 約300V

自己インダクタンスは同じなので、
素早く電流が切られるリードスイッチこまの方が高くなっています。
コマが速く回転すればするほど、自己誘導起電力が高くなります。
自己誘導起電力はで表され
芯の透磁率、コイルの巻き数の二乗、コイルの断面積に比例、
コイルの長さに反比例します。
また、電流を速く切るほど、大きな自己誘導起電力が発生します。       

LEDを接続した状態
正方向は発振回路で約1.5V、リードスイッチこまは約1.0Vです。
自己誘導起電力は 発振回路 約7V (青色LED接続)
リードスイッチコマ も 約7V (青色LED接続)
周期は発振回路コマの方が長い上に、
オフになっている時間が長く存在します。


②発振回路こま のコマを回していないときと回したとき
発振回路のコマを回転させていない時と回転させた時を比較してみました。
コマを回転させた状態の方が、周期が短くなっています。
コマに貼り付けた磁石が、コイルに近付くか離れるときに電磁誘導が発生して
電圧が上昇し、発振間隔が短くなっています。
コマは最初、手で回さないといけませんが、
最初にいくら速く回しても
徐々にこの発振周波数に回転数を合わせて
うまく同期出来るようになるのでは?と考えました。


<2017年7月11日追記>
兵庫県立相生高等学校で
「発振回路の永久コマ」の工作教室をやらせて頂きました。
そのときに、一人の生徒さんが素晴らしい発見をされました。
なんと!磁石だけでも回るのです。
磁石を立てた状態で高速で回転します。

<2018年2月18日追記>
Facebookお友達の大阪の矢野さんが
素晴らしいコマを考えて下さいました。

ダイソーのφ13mmのネオジム磁石2個の間に
つまようじを挟みコマにします。
これなら簡単にコマを作ることが出来ます。

回ってる姿もとても可愛いです~♪

私もやってみましたが、
本当に簡単に出来て、足の長さもそれほど気にせず
0mm~10mmの間なら うまく回りました。


<なぜ、コマの回転と発振回路がうまく同期するのか?>
について考察してみました。
http://eneene7.blogspot.com/2017/08/blog-post.html



これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。



4 件のコメント:

  1. こんにちは。
    質問です。

    電気関係はよくわからないのですが、コンデンサーの極性が、NPN のベースに近いほうの足が + になっていますが、そうなんですか?

    また、発振の原理を説明する参照先の記事は本当ですか? 本当に説明通りならコンデンサーの極性はNPN のベース側が + で間違いなさそうですが、他のサイトや参照先の記事自身も、NPN に近いほうがマイナスなんですよ。また、説明通りの出来事なら、コンデンサーの足は GND に接続しても発信することになりますが・・・

    極性を間違えると危ない部品らしいので、明確になっていると助かります。

    もしかしてこれですか?
    https://oshiete.goo.ne.jp/qa/3713907.html
    http://www.kotaden.com/stage5_4_index.html(解説のボタンを押す)

    問寒別静

    返信削除
    返信
    1. こちらの回路を参考にしました。
      簡単な回路説明も書かれています。
      http://www.murata.co.jp/elekids/ele/try/koka08f/pdf/0901.pdf

      削除
  2. メールでの質問に対し、ご回答ありがとうございました。

    LED点滅のリンク先(RLCさん)にある電解コンデンサの極性は、リンク先のRLCさんの勘違いの可能性があるというご回答でしたね。電検3

    コンデンサ以前の話になりますが、「ししおどし」発振の動作説明でLED点滅のリンク先を見てねということは、LEDの点滅も同じ「ししおどし」なので、コンデンサに充電して電気がたまったらトランジスタONという意味ですね。リンク先は図の解説もありますし。

    上手に「ししおどし」に偽装していますね。子供たちもウソに感心しています。でも偽装しているので説明文に対し、コンデンサの極性が逆です。ただリンク先回路図は、LED側がプラス極性で大正解ですね。抵抗器側をプラスにすると、間違いなくミニ爆発を起こします。このブログの永久コマや村田製作所さんの説明とは違います。

    「ししおどし」発振の説明なら「ししおどし」発振の記事をリンクすればよかったですね。

    このLEDの回路について、動作解説とまとめを公開したサイトがあります。よろしければご参考に。子供たち納得のサイトです。もちろん標準の「ししおどし」の解説もあります。

    LTspiceで弛張発振
    http://blendermappython.web.fc2.com/LTspice-relax/relax-ltspice.html

    問寒別静

    返信削除
    返信
    1. ご連絡下さって、ありがとうございます。
      RLCさんのサイトリンクは削除しておきました。
      ご紹介下さったサイトも参考にさせて頂きます。

      これからもまた、宜しくお願いします。

      削除