2020年6月16日火曜日

ペイジの電磁石モーター

「次はペイジの電磁石モータのようなものを作ってみたいと思っています。」
と書きましたが、取りあえず それらしきものが完成しました。

こちらが「電気技術発展の秘話」の43ページに掲載されている
「ペイジの電磁石モータ」のイラストです。
さらに調べてみると、TDKの「TECH-MAG」にも
ペイジの電磁石エンジンのことが書かれていました。

今回この「TECH-MAG」のイラストを参考にしながら挑戦してみました。
ただ、イラストは電磁石に引き寄せられるものが「鉄片」となっているのですが、
私が作ったものは鉄片では力が弱く、磁石を使用しています。




前回の「ソレノイドエンジンPart2」では小さなベアリングを使用しましたが
今回は「オイレスブッシュ」というものを使用しました。
樹脂の中に潤滑油を含有させてあるそうで、シャフトが軽く回ります。
前作を作った後、こんなのがあるよと教えて頂き、試してみることに・・・
内径2mm、外径4mm、長さ4mmを購入し、
2mmのシャフトを入れたらどうなるんだろう?
とワクワクしながら到着を待つことに。
実際、試してみるとシャフトはスーっと入って、
隙間はほとんどなさそうだけど、よく回る!
かなり感動ものでした。
使い勝手もいいので、これから時々使っていきたいと思います。

この写真の黒く見えてるものが「オイレスブッシュ」です。

完成後の写真です。
電源は前回と同様モバイルバッテリー(5V)です。

コイルはM6×55mmのボルトにφ0.32mmのPEWを1200回巻きにしています。
電磁石2個には交互に電流が流れます。
電磁石の上で上下するネオジム磁石は、
φ10mmのものを電磁石と反発する極性で貼っています。
(引き寄せる極性でも実験しましたが、これでもうまくいきました。)
LED3個は直列接続にし、それぞれの電磁石に並列に接続しています。
自己誘導起電力で光らせるため、足の短い方が電池のプラス側です。

後ろ姿です。
 CDの中心に刺し込んだ長いシャフトの軸受けにも
オイレスブッシュを使いたかったのですが、
軸受けを通してシャフトに電流を流すため、
金属製のものが好ましく、ここでの使用は諦めました。


前作でもスイッチングはDCモーターの整流子を使用しましたが、
今回はさらにモーター内蔵のブラシも使用します。




下図のような仕組みで、コイルAとコイルBに交互に電流が送られます。
整流子①がブラシAを離れてからブラシBに接触するまでと     
整流子①がブラシBを離れてからブラシAに接触するまでの間は
どちらのコイルにも電流が流れていない時間があります。


~~~~~~~~~~~

 映像の最後で前作と並べて動かしていますが、前作の方が速く回転しています。
今回の方が作りが悪いせいもあると思いますが、
それ以外の理由について考えてみました。
<左>が今回の装置、<右>が前回の装置です。

① 鉄心の有無。
今回、<左>の緑の〇のようにM6の鉄心の上でφ10mmの磁石を上下させていますが
磁石と鉄心の吸引力が大きいため、
下に降りた磁石が上に移動するとき、大きな力が必要。
例えば磁石をもう1枚追加すると、吸引力が大きく より一層遅くなります。
(右のソレノイドには鉄心がなく、ソレノイドの中を磁石が上下する。)


磁石の重さ
<左>左右に6gずつ <右>3g


軸のつなぎ箇所
<左>は6か所  <右>は4か所
つなぎ部の摩擦抵抗は、箇所によって違いますが、
<左>の方が大きい可能性が高い。
少なくとも、磁石をぶら下げているところの摩擦抵抗は
②の磁石の重さの違いから<左>の方が大きい。


ピストンが上下に移動できる長さ(ピンクの  のところ)
クランクピンを直径30mm回転させるために
<左>は約10mm、<右>は約18mm 上下させています。
左の方がA:Bの比が大きく、ピストンを上下させるために、大きな力が必要です。

電流計で測定すると、電流値の細かい変動はありますが、
大体<左>が0.2~0.3A、<右>が0.1~0.2A 程度でした。


上の方で紹介した「電気技術発展の秘話」によると
「ペイジの電磁石モータ」について、
極面に鉄片を吸着させる方法では、その鉄片の移動距離を長く取れない。
そのため、この力を動力として取り出すためには、外部構造に工夫がいる。
そこで蒸気機関のピストンシリンダを真似て、
中空コイルに鉄心を挿入することで移動距離を大きくする方法を考えた。

と書かれていますが、恐らくソレノイド方式でしょうか・・・
実際にこの方式に改良し、136.1kgの重量を 25.4cm上げることができた。
そうです。

興味のある方は、是非「電気技術発展の秘話」をご覧ください。
私はこの本購入しちゃいました~(^^)/

結局、<左>の回転が<右>より遅い理由は
色んな理由が重なった結果!?なのでしょうか・・・

7 件のコメント:

  1. なんとなくですが、往復運動するリンク機構の慣性(モーメントの長さと重さ)の影響が大きいような気がします。左側は、1:3で磁石の重さ6g、右側は、1:1.7で磁石の重さは3g。「磁石をもう1枚追加すると、より一層遅くなります」と確認されていますね。右側に磁石ではなくて、何か磁気に影響がない「鉛」のような重りを追加して、遅くなることを確認すれば、完ぺき?

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    1. 兵頭さん、ありがとうございます。
      右の装置の重さを変えることは思ってもみませんでした。
      出来ればソレノイドの中に何かを入れてやってみたいですね。
      実は一昨日、落として壊れてしまい、修理したのですが回転の勢いがなくなってしまって・・・
      もう少し、調整し直してからやってみます。
      アドバイス下さって、ありがとうございます♪

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    2. あらま!大変、落としちゃったんですか。落ち着いたら試してみてください。

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    3. そうなんです。なんだかそれ以来、落ちた瞬間の様子がスローモーションでフラッシュバックしてきます。完全に元通りにはならないと思いますが、試してみますね。

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  2. chieさん とても興味深いです。お尋ねします。左右の電磁石は吸引、反発をくりかえしているのでしょうか。

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    1. 渡辺先生、コメント下さってありがとうございます。
      左右の電磁石はどちらも反発のみです。
      左の磁石が下に降りたとき、左の電磁石がオンになり反発して左の磁石が押し上げられる。
      すると、右の磁石が下に降りて、右の電磁石がオンになり反発して右の磁石が押し上げられる。
      の繰り返しになっています。

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    2. 結果として、励磁電流がないときでも、磁石と鉄心間の引力は回転トルクに寄与していることになるわけですね。

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