2015年12月12日土曜日

ブロッキング発振で相互誘導

先日、青森の野呂茂樹先生(物理実験の達人)からご連絡を頂き、
興味深い回路を紹介して頂きました。

大阪 生野高校・宝多卓男先生がWEB検索で得られた、
いくつかの情報をもとに工夫された回路だそうで、
Youtubeにアップされてます。


動画を見て感動し、野呂先生のご指導を頂きながら早速作ってみました。

野呂先生の作品はこちらです。


1次側の回路図です。
トランジスタは2N3904PN22222SC2120など、
トランジション周波数の高いものがいいです。

1次コイルは単2電池程度の太さのものに、
まず15回巻き、少し伸ばして、再度同じ方向に15回巻きます。
(コイルの太さは適当でもいいようです。)

電池から外して、バラバラにならないように留めて
2次コイルも同様に電池に巻きます。
宝多先生は30回、野呂先生は10回巻いたものを使われてるそうですが
私は50回巻いたものでやってみます。

1次コイルを上の回路図通りに、ビーズケースに作成しました。
2次コイルには、赤色LEDを逆向きの並列接続で繋いでいます。

スイッチを入れて2次コイルを1次コイルに接近させると
LEDが点灯(高速で点滅)します。
ビデオが表示できない場合はYoutubeでご覧ください。

色々とやってるうちに面白い現象がありました。
LEDの片極をコイルから外し、指でつまんだ状態でも点灯するのです。


2次コイルをコマにして回してみました。
LEDが点灯ではなく、高速で点滅している様子がわかると思います。
ビデオが表示できない場合はYoutubeでご覧ください。

光る永久コマも作ってみました。


<2次コイルの電圧波形>
ここで掲載しているグラフは 
1次コイルと2次コイルがピッタリ寄り添った状態で計測をしています。
コイル同士を離すと 電圧は下のグラフよりどんどん下がります。
また2次コイルの巻き数や1次側に入れた抵抗値でも電圧や周波数は大きく変化します。

①無負荷(LEDを接続していない状態の波形)
だいたいプラスマイナス70Vくらいの変動でした。


②赤色LEDを1個接続
この場合は2次コイルの向きによって電圧波形が異なっていました。
ちょっとわかりにくいですが、
左は2次コイルに白い紙を貼った方が上を向いてます。
右は2次コイルに白い紙を貼った方が下を向いてます。
(紙を貼っているかどうかが問題ではなく、
1次コイルに対して、2次コイルがどのような向きになっているかで変わります。
1次コイルもどちらにベースかコレクタを接続するかで変わると思います。)

光り方はほとんど変わりませんが、逆電圧が大きく違います。

 左の場合
逆電圧は3.8V程度なので、
今回使用したLEDのReverse Voltage=5Vより低く問題はないと思います。

 右の場合
逆電圧は18V程度となり、
今回使用したLEDのReverse Voltage=5Vより大きいので
対策が必要と思われます。


③赤色LEDを逆向きの並列接続
上のビデオのように、赤色LEDを逆向きの並列接続にした場合の電圧波形です。
プラス側約2V、マイナス側約1.8Vとなりました。
ビデオで見ると一方が明るく、もう一方は暗く見えますが
明るい方は2V、暗い方は1.8Vです。



<7色に変化するLEDを点灯>

野呂先生より、「相互誘導で7色に変化するイルミネーションLEDを点灯」
の提案を頂きました。

7色に変化するLEDは電流が流れ続けないと色が変化しません。
電流が切れると、リセットされ最初の色に戻ります。

そのためオンオフを繰り返す発振回路や、
今回のように、正負逆転を繰り返す発振回路では
常に最初の1色のみ(赤色) のみの発色となってしまいます。

そこで、2次回路を「整流平滑回路」にします。
今回は「半波整流平滑回路」でやってみました。

↓2次回路の回路図です。

<コイル>
1次側回路は上の方で書いたものと同じです。(コイルは15回-15回巻き)
2次側コイルは50回巻いています。
10回巻き程度でも点灯しますが、主に赤・青・緑しか点灯しません。
綺麗に7色を発光させたい場合は50回くらい巻いた方が良さそうです。

<ダイオード>
ダイオードは高速スイッチングダイオード(1N4148)を使用しました。
シリコンダイオード(1N4007)でも光りますが光り方は断然1N4148の方がいいです。
(ショットキーバリアダイオードでも1N4148と同様に良く光ります。)

<電解コンデンサ>
色んな容量のものを試しましたが、大きな違いはないので、
特に10μFじゃなくてもOKだと思います。

<抵抗値>
100Ω以上は入れた方が良さそうです。
1kΩでも明るく光ります。



2次側のLEDの端子波形です。
(1次コイルと2次コイルがピッタリ寄り添った状態で計測をしています。)
常に正方向の電圧波形となり、7色に光るLEDが点灯します。


これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。




2015年11月14日土曜日

手作り 「くまとりモーター」

「くまとりモーター」は単相誘導モータの一種で、
扇風機のモータとしてよく使用されています。
交流モーターを回すためには、位相の異なる2相以上の交流が必要です。
しかし一般家庭用では単相交流のため、
位相の異なる交流を流すことが出来ません。

単相誘導モータを回すためには、
コンデンサを使って位相の異なる補助コイルを設置したり、
今回の実験のように、くまとりコイルを巻いて、
補助コイルに位相の異なる電流を流す工夫がされています。
(コンデンサを使った実験方法及び回転磁界の発生する理由はこちらをご覧ください)

「くまとりモータ」は鉄心に主コイルと補助コイル(くまとりコイル)が巻かれ、
主コイルに交流電流を流すと、補助コイルには相互誘導により 起電力が発生して
誘導電流が流れます。
この誘導電流は主コイルに対して遅れ位相となります。
その結果、主コイルと補助コイルに生じる磁界にも位相差が生じ、
その合成磁界は時間とともに回転する回転磁界となり、ローターが回転する仕組みです。


今回は電源トランスを使って、家庭用の100Vの交流を612Vに減圧して
アルミ製のペンシルキャップにうず電流を誘導することで回転をします。

今回使用した電源トランスは Toyozumi HT-1205 です。
 入力100V、出力は6,8,10,12V 二次側の定格電流は0.5Aまでのものです。

不要になった電源コードなどを切断し、
差し込みプラグ側のコードを電源トランスにハンダで接続します。
接続したところは、絶縁テープ、絶縁キャップなどでキッチリ絶縁して下さい。

安全に実験を行うためにヒューズを入れておきましょう。
今回、中には0.2Aのヒューズを入れました。

鉄心にはシャックル (スチール製 9mm) を使用しました。

絶縁とポリウレタン銅線(UEW) のすべり防止のためにテープを巻いてから、
0.2mmφのUEWを1500回巻きます。
(巻き始めと巻き終わりは約10cm程度残しておきます。)

右が0.2mmφのUEWを1500回巻いた状態
(この装置は0.35mmφのUEWを300回巻いた装置でも回転しますが、発熱量が多くなります。)
試しにやってみる程度なら、0.35mmφを300回の方が簡単に出来ると思います。
(電源トランスの二次側電流の高いものを使用のこと)
左はくまとりコイルとして、0.9mmφの銅線を8回巻いて、両端は結び付けてあります。
(銅線は被覆もないので、完全に短絡した状態です。)

これを固定させるために、
金折をシャックルの径に合わせて、ペンチで折り曲げます。

高さ約3cmの木片にシャックルを固定し、

これを15cm×6cm程度の板に固定。
主コイルと補助コイルの間に長さ65mmの銅釘を立てます。
(銅釘がなければ鉄釘でもOKです。)

主コイルの巻き始めと巻き終わりに、ミノムシクリップを接続し
接続部分は絶縁テープなどで絶縁しておきます。

この銅釘にアルミ製のペンシルキャップをかぶせて回転させますが、
回転の様子がよくわかるように、
ストローに切り込みを入れて作った傘をかぶせています。
(アルミ製のペンシルキャップはキャンドゥ、セリアで購入出来ます。
ダイソーで販売されているものは、ステンレス製のため、うまくいきません。)
(2015.11月情報)

シャックルの横に電源トランスをネジ止めすれば完成です。

差し込みプラグをコンセントに繋ぎ、
ミノムシクリップの1つは0Vの端子へ接続。
もう1つのミノムシクリップは6~12Vの端子に繋ぎます。

6~8~10~12Vと電圧を上昇させるにつれ、速く回転します。



ビデオが表示できない場合はYoutubeでご覧ください。

今回は0.2mmφのポリウレタン銅線を鉄心に2000回巻きましたが、
0.35mmφのポリウレタン銅線を300回巻いた装置でも回転します。
(二次側電流の高い電源トランスを使用)

また本来の「くまとりモーター」は、
うず電流を軽減させるために積層されたケイ素鋼板が使用されていますが、
今回は塊状鉄心で行っているために、発熱が激しく 
0.35mmφのポリウレタン銅線を300回の装置では
10分程度 回転させるだけでもかなり熱くなるので要注意です。

この写真は扇風機から取り出した、実際の「くまとりモーター」です。



(コンデンサを使った実験方法及び回転磁界の発生する理由はこちらをご覧ください)

今度は私の目の下のくまとり対策を考えないと!


これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。




2015年10月15日木曜日

ワクワク電気の実験教室 「圧電素子発電」

数年前 "歩くだけで発電する「発電床」の実証実験” の
ニュースが話題になりましたね。 
歩くだけで発電?もし実現すれば、手軽でエコな発電方法ですよね。

今回はその「発電床」に使われている"圧電素子"を使って、
簡単に出来る発電実験をやってみましょう。
圧電素子はダイソーで販売されてるストップウォッチや
防犯ブザー、メロディーカードなど様々な商品で使われています。


<用意するもの>                                                                                    
        (共通) 防犯ブザー(100shopで購入出来ます)、ビニールテープ    
        (その①) LED2個、電動歯ブラシ、   
        (その②) LED2個、ビー玉、お菓子のジューシーのケース、
                    木片(25mm×30mm×5mm程度)、リード線約6cm2
        (その③) LED2個、カスタネット、よさこい鳴子  
        (その④) LED2個、ビー玉、お菓子のジューシーのケース、
                     木片(25mm×30mm×5mm程度)、リード線約6cm2本、
                     ダイオード(ゲルマニウム、ショットキーバリア等)4個 
                     電解コンデンサ(100μF)1個、抵抗(4.7kΩ)1


その① (電動歯ブラシ編)
①防犯ブザーから圧電素子を取り出します。

②圧電素子は下から 下部電極、圧電材料、上部電極で構成されています。


防犯ブザーから取り出した圧電素子の
下部電極及び上部電極からリード線が出ているので
そのリード線に LED2個を逆向きの並列接続にします。
(一方の長い足にはもう一方の短い足を接続)


③圧電素子は大変壊れやすいので、ビニールテープを巻いておきます。

④圧電素子に電動歯ブラシを当てると、LEDが光ります。
(写真は取替ブラシを取った状態で振動させています。)



LEDを接続しない状態の圧電素子の端子電圧を見ると
交流発電をしています。
振動によって素子が伸びるときに発生する電圧が正方向とすると
縮むときの発生電圧は負方向となります。
もし、LEDを一つだけ接続させた状態では、
5V程度の逆方向電圧がかかるので、
LEDは徐々に壊れてしまいます。
LEDを逆向きの並列接続にしておくと、
もう1方のLEDによって、逆方向の電圧が抑えられます。

また順方向5Vも少々かけ過ぎのような気がします。
LEDによって順方向電圧は違い、定格順電流値(IF)も異なり
それぞれのデータシートを見ないと一概に言えないですが
順方向に5Vをかけると、定格順電流値(IF)以上の電流が流れる恐れもあります。
もしそうなると、LEDは徐々に壊れていくと思います。

抵抗100Ω程度入れておいてもいいのかも知れないですね。

 電動歯ブラシを当てる場所によって、色んな波形が見られます。




その② (ビー玉衝突編)
① その①と同様に圧電素子に LED2個を逆向きの並列接続にし、
圧電素子にビニールテープを巻いて保護しておきます。

②ジューシーのケースにビー玉を入れ、圧電素子、木片で蓋をします。
圧電素子のリード線を保護するために
裏側にビー玉が当たるようにします。

③木片をテープで固定して

④しっかりとジューシーケースに貼り付けます。

⑤振ったり、机の上でトントンと叩くと、LEDが点滅します。





その③ (カスタネット、よさこい鳴子編)
同様にして、動物カスタネット、よさこい鳴子で発電してみました。










その④ (コンデンサに充電)
圧電素子は発生する電圧は高いのですが、
わずかな電流しか流れないので、充電しにくいのが難点です。 
ここでは圧電素子1個の簡単な回路で、充電の仕組みを見てみましょう。     
圧電素子は交流発電のため、整流してから充電することがポイントになります。       
充電するときは二次電池や電気二重層コンデンサを使うのが一般的ですが     
圧電素子1個では、ほんのわずかしか発電しないので、
今回は100μFの電解コンデンサに充電してみましょう。  

(圧電素子+ダイオードブリッジ) をなるべくたくさん並列接続にすれば、
電気二重層コンデンサにも充電できるようになります。

回路図は下図の通りです。
スイッチオフの状態で電解コンデンサに充電し、
充電を終えたら、スイッチオンにするとLEDが点灯する仕組みです。
 抵抗値を小さくすると、明るく点灯しますが、点灯継続時間は短くなります。
抵抗値を大きくすると、薄暗く長時間点灯します。

4.7kΩで4秒程度です。)


①ダイオード4個でダイオードブリッジを作り、     
交流電流を整流して電解コンデンサに充電します。 
ダイオードは順方向の電圧降下の低い方がベターです。     
 (ショットキーバリアダイオードなど)


  その② (ビー玉編)と同様に、ジューシーケースに貼り付けてから、
300回降り続けます。

スイッチをオンにすると、次第に薄くなりながらも、約4秒間点灯します。 


ここまで使用した圧電素子は圧電スピーカーと呼ばれているものです。   
防犯ブザーから取り出したことでもわかるように、 
圧電体に電圧をかけると伸びたり縮んだりして
音を発生することができます。(逆圧電効果)     
逆に今回の実験のように 圧電体を伸ばしたり縮ませたりすると、
電圧が発生します。(正圧電効果)      
今回の実験では電動歯ブラシの振動やビー玉の衝突などで、
圧電体が伸びたり縮んだりしながら、交流発電をしています。    

その⑤ (ライターの圧電素子編)
圧電スピーカーとは形は全く異なりますが、
電子式のライターにも圧電素子が使われています。 
正圧電効果を利用して、瞬時に高圧放電をして、点火する仕組みです。       
これを使っても、LEDを点灯させることが出来ます。








これ以外の実験や工作も掲載していますので、
こちらも見てみて下さい。