2021年6月8日火曜日

ホールセンサーモーター

時計の基盤と電池電極を使っただけで、
残りの部品がもったいない!と思い、使い道を考えたところ、
このような「ホールセンサーモーター」が完成しました!


時計の秒針のところは摩擦抵抗が少なく軽く回転するので
何かの軸受けとして使えそう・・・思い、
まず「リードスイッチモーター」を作ったのですが、完成した直後
リードスイッチの代わりにホールセンサーで回らないかしら?
と思い始め、挑戦してみることに・・・

ホールセンサーを使ったモーターと言えば「ブラシレスモーター」がありますが、
リードスイッチモーターのような簡単な工作を目標に試行錯誤し、
なんとか完成~  ♪♪(^-^)v
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分針がついてたギアの先端は少し短く切って
(下写真 左が切る前、右が切った後)

これと、秒針がついてたギア(細い針金つきのもの)と中板の3点のみを
黒いケースにおさめました。

こんな感じです。

こちらが3Dプリンターで作成したものです。

回転体にはφ6mm×3mmの磁石を6個取り付けています。
(左は秒針の軸受けを使用したもの、右は軸受けも3Dプリンターで印刷したもの)
磁石はNS交互に取り付けるか Nが全て外向きになるように取り付けます。
(下の方の考察をご覧ください)

ホールセンサー(US1881LUA)は左右に移動できるようにしました。
刻印の面がこちらを向いています。
US1881LUAはラッチタイプです。

コイルはφ0.2mmを約700回巻きました。

ホールセンサー(US1881LUA)の電圧範囲は3.5V~24Vなので、
5Vのモバイルバッテリーを使用することにしました。

回路はこのようにしました。

当初、コイルにLEDを逆向き並列接続にして、
コイルが切れるときの自己誘導起電力でLEDを光らせようとしましたが、
LEDに直列抵抗を入れても、切れてしまうものがあり、
ひょっとすると時々大きな逆起電力が発生してるのかな?と思って、ダイオードに変更。
LEDはパイロットランプとしてつけておきました。(LEDはなくても回ります)

配線をしたところです。

ホールセンサーと磁石、コイルと磁石の間隔はなるべく狭い方がよく回ります。



上の動画では、コイルは空芯にしていますが、
鉄心を入れると、より速く回転をします。


上の動画で なんとなく神戸ポートタワー?なるものをご覧頂きましたが
神戸ポートタワーのような構造を「双曲面構造」と言うそうです。
なぜ?横から見ると、曲線に見えるのか?3DCADで確認してみました。


~~~~~~~~~~<考察>~~~~~~~~~~

ホールセンサーには大きく分けて3種類あります。
・アナログ出力タイプ(リニアタイプ)
・ラッチタイプ
・スイッチタイプ
それぞれの詳細説明はこちらにわかりやすい書かれています。

アナログ出力タイプのものは、以前 「磁気浮上装置」や「磁気測定器」で使用しましたが、
今回、リードスイッチモーターのように使用するなら、
「ラッチタイプ」又は「スイッチタイプ」かな?と思って、
手持ちのホールセンサーを見ると、以前に秋月電子通商で購入していた
ラッチタイプのUS1881LUA があったので、これで作成しました。

ラッチタイプのホールセンサーはN極が近付くとHIGHになり、
S極が近付くとLOWになります。
(S極が近付かないとHIGHのままです)
(ラッチタイプはバイポーラとも呼ばれるそうです)

ホールセンサーの位置によって回転方向が変わるのは下図ような理由です。
(リードスイッチモーターと同様です。)


ラッチタイプはS極が接近しないとLOWになりません。
ところが、下図左のように6個全てN極を外向きにしても回転します。
そしてこの方が回転も速いです。
その理由は下図の右のような磁力線により、
N極同士の間がS極とみなされ、LOWになるのでは?と考えました。

この後、AliExpressで購入した「US1881」でも試したところうまく回転しました。
ただ、N極とS極の反応が逆になっているのか?
N極をすべて外向きに貼った装置では、
ホールセンサーの刻印じゃない方を磁石に接近させることでうまく回転しました。
(みなしのS極ではLOWには出来るが、HIGHにはできない???)

AliExpressで購入したスイッチタイプのホールセンサー「A3144E」も
うまく回転しました。
スイッチタイプには単極検出(ユニポーラ)と両極検出(オムニポーラ)がありますが、
「A3144E」はユニポーラと思います。
(N接近でHIGH 離してもHIGH保持、S接近でLOW 離すとHIGH)
(「OH137」もユニポーラのようです。)


 
ローターが回転しているときの、コイル両端①~②の電圧波形です。
「US1881LUA」(ラッチタイプ)    
<ローターの磁石はNS交互・コイルは空芯

<ローターの磁石はNが全て外・コイルは空芯

<ローターの磁石はNが全て外・コイルは鉄心入り

「A3144E」(スイッチタイプ ユニポーラ) 
<ローターの磁石はNS交互・コイルは空芯

ラッチタイプとスイッチタイプではDuty比が違うことがわかりました。

次はこの回路を使って、「永久コマ」に挑戦します♪

4 件のコメント:

  1. 今回も、凄い出来上がりです。
    なるほど、センサーの位置を変えることで、回転方向が変わるんですね。
    双曲面構造も組み合わせて、作品に深みがあります。
    説明も具体的で、いつもながら、驚くばかりです。

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    1. Hyodoさん、見て下さって嬉しいコメントも下さってありがとうございます♪

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  2. chieさん とても楽しいです。1セットの作品ができるまでの実験の数々、解説も素晴らしく本当によくわかりました。ラッチ付き、私にとって一番最初に勉強した部分です。

    「ラッチタイプはS極が接近しないとLOWになりません。・・・・・回転も速いです。・・・・・下図の右のような磁力線により、N極同士の間がS極とみなされ、LOWになるのでは?と考えました。」

    この部分納得です。ホールセンサーは、磁極が側にあるかだけではなく、素子を磁束が通過する向きによってN、Sを表示しているということが、よくわかりました。chieさんから頂戴した装置で確認できました。有難うございます。

    お体大切に、ご活躍ください。

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    1. 渡辺先生、見て下さって嬉しいコメントも下さってありがとうございます♪
      全てN極が外向きでもLOWになる理由、間違ってなかったようで安心しました。

      こちら梅雨入りしたものの、すでに梅雨明けしたような?晴天&暑い日が続いています。
      渡辺先生も畑でお忙しくされてることと思いますが、
      お体にお気を付けて、頑張って下さいね。

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